Revolutionizing Menswear: OAMC
〈Lanvin〉、〈Thom Browne〉、〈Jil Sander〉といったレーベルとともに名だたるショップの店頭に並ぶ理由とは? 「Luke Meier」が語るブランドフィロソフィー

ファッションブランドを立ち上げること、特にメンズウエアブランドとして成功することは、現代で最も難しいタスクかもしれない。多くの消費者にとって、〈Gucci〉や〈Lanvin〉をはじめとするラグジュアリーブランドの歴史とイメージが、メンズウエアという定義の代名詞そのものになっている場合も多くない。そんな業界で新しく誕生するブランドは後を絶たないが、ユニークさ、新しい定義を提案しようと努力するブランドの中でも広く名を知られるレーベルは少なく、数々の歴史あるブランドと並びトレンドを超えて支持されるブランドは更に少ない。2013年にローンチした〈OAMC(オー エー エム シー)〉 は、多くの消費者が感じるラグジュアリーなメンズウエアの堅苦しさ、敷居の高さを崩しつつ、高いクオリティの商品を展開するブランドとして浸透。わずか3年という期間で〈Dries Van Noten〉や〈Thom Browne〉といったレーベルと同じラックに商品を並べている。2016年にはフランスの権威あるファッションアワード「ANDAM」にも、注目度の高いブランドに並びその名前がグランプリにノミネートされたことからも、その実力がうかがえる。『HYPEBEAST』は「Arnaud Faeh(アルノー・ファー)」とともにブランドを手がける「Luke Meier(ルーク・メイヤー)」に、ラグジュアリーという敷居の高いフィールドに登りつめたブランドのこれまでの発展について尋ねた。Meierは、「〈OAMC〉では確かに、既存のオーセンティックなラグジュアリーメンズウエアという枠を超えた試みができていると感じるし、それは誇れるものだと思っているよ」と話す。

我々はまだ学びと成長の途中段階なんだ。確実に成功したかはまだ分からないが、発足当時よりグラフィックTシャツからテイラーリングアイテムまで、心から納得できるものを提供し続けられていると感じるよ。 ここ数年はインターネット、eコマースの広がりにより、10年前では実現し得なかったリテール事業の形ができている。そして〈Louis Vuitton〉や〈Gucci〉といった歴史あるメゾンでも、もちろん時代に合わせたものづくりや新しい世代へ向けてのアプローチを行ってはいるが、その威厳と格式ゆえの堅苦しさは彼らが守っていくべきものでもあり拭い去れないものでもあるだろう。一方MeierとFaehの〈OAMC〉のアプローチは、レーベルの名前でなく商品自体を主役に、ラグジュアリーブランドとしての品質を保ちながらも、より自分たち、そして消費者と服とのつながりを感じさせることで、ラグジュアリーの近づきにくいイメージを薄れさせ、本来彼らが目指していた“ラグジュアリーブランド”として展開されていると言えるようだ。「ラグジュアリーな品質で作られていながら、自分の生活レベルに通じるものを求めていたんだ。ラグジュアリーブランドの持つクオリティやクラフツマンシップにはこれまでもとても感銘を受けていたけれど、その見せ方や彼らが提示する世界観は自分の環境からはとてもかけ離れたものだと感じていた。言い方を変えると、自分がそのブランドの客になるということが想像できなかったんだ。〈OAMC〉は質の高いプロダクツを自分の目線、自分のフィールドに結びつけた形で提示できるチャンスだったんだよ」とMeierは語っている。「我々はまだ学びと成長の途中段階だ。確実に成功したかとはまだ分からないが、発足当時よりグラフィックTシャツからテイラーリングアイテムまで、自分たちが心から納得できるものを提供し続けられていると感じているよ。」

もちろん、Meierが〈Supreme〉のクリエイティブディレクターであったことは大きな強みだ。彼が〈Supreme〉で築いてきた実績によってブランドには多くのフォロワーが存在し、今後の動向に注目と期待をしている。Meierはそのファンの存在と〈Supreme〉でのキャリアを感謝するようにこう語る。「〈Supreme〉で過ごした時間、自分がそこで挑戦できたたくさんのことを誇りに思うよ。James Jebbiaは大切な友人だし、長年の彼のブランドのディレクション、スタッフのマネージメントについて本当に尊敬するよ。」〈Supreme〉でのキャリアやそれに伴う評判にあぐらをかくつもりもなく、〈OAMC〉自体が持つクオリティーで成果を出したいという彼は、「自分の仕事について〈Supreme〉の名を引き合いに出されるのは賛辞だととらえているよ。ただ〈OAMC〉は全く別のプロジェクトで、全く違う立ち位置のブランドなんだ」と話す。 “いい店に置かれているのは、いいものを作っているから。話題づくりよりも、ものづくりに多くの力を注いているんだ。” 移り変りの速く、トレンドに流されがちな幾つものブランドが生まれては消えてゆく業界において、ブレないアイデンティティーを持ったまま大衆に求められ続けるブランドでいるのはたやすい事ではない。来週Instagramでもてはやされるものが、来年も同じような反応を得ることは極めて少ないのだ。多くの人は、今のファッショントレンドはモノではなくセレブリティの支持によって変化、決定されると言う。しかし移り気な消費者に比べ、名高いバイヤーたちは数ヶ月後にセールラックに並ぶ一時の流行ではなく、クオリティーとサステナビリティーを持ったプロダクトを探していることをMeierは感じていた。そして実際ブランドは設立後3年にして、インフルエンサーの影響力や“ハイプ”に頼ることなく目指すべき店舗での取り扱いを実現させていった。「単純に、バイヤーたちは我々の商品の質そのものを見極めてくれていると思う。いい店に置かれているのは、いいものを作っているから。話題づくりよりも、ものづくりに多くの力を注いているんだ。話題性自体に興味はないよ」と話すMeier。現代の究極のマーケティングツールであるソーシャルメディアを利用して成功しているブランドが多い中、クオリティーにここまで注力し成功ている新しいブランドは稀ではないだろうか。加えて、〈OAMC〉を取り扱うリテーラーとの関係性、それぞれのバイイングの仕方、商品の見せ方が違う点についてMeierは「それぞれが違っていていいと思う。リテーラーによってプレゼンテーション方法が違うのは仕方ない。彼らにはそれぞれの見せ方やそれぞれの顧客がいるんだ。ただ我々には、プロダクトを最良の形で売り場に置いてくれる信頼できる取引先がいるし、コレクションが一番いい見え方で並ぶのが最善の販売方法なんだ。」と話す。

〈OAMC〉がハイエンドなブランドとしての立ち位置を確立していくのと比例し、その価格帯については敷居が高いと感じるファンが多いのも確か。イタリア製のハイクオリティープロダクトを生産する限り、価格が上がるのも否めないが、設定価格についてMeierはこう説明する。「製造過程、機能性、素材の質を重視した大量生産ではない商品を作る上で避けられないことなんだ。もちろん1セント単位で交渉しているし少しでもコストを落とせるよう努力しているが、結局質にはそれ相応の対価が必要なんだ。コスト削減のために手間を省いている“ラグジュアリー”と言われているブランドの名前を聞いて、実情を知ったらみんなきっと驚くよ。でも我々はそういった手抜きは一切していない。だから最終的な価格に偽りはないと自信を持って言えるんだ。」ハイペースな消費速度とTumblrから取ってつけたようなグラフィックTシャツが当たり前のファッションシーンを生きる若い世代にとって、ストリートブランドでの経験をバックグラウンドに持ちながらも対局のものづくりをする〈OAMC〉のようなブランドは逆に際立つのかもしれない。Meierはさらにこう続ける。「人々は質が高く長く持ち続けられるものを求めるはずだし、そういった人たちはその価値を理解している。業界がスピードアップしているのは事実だが、クオリティーは急かして手に入れられるのもじゃないんだ。」

そして質と共に重要なのがそのデザインである。〈OAMC〉のコレクションを見れば、それがいかに統一感があり考え抜かれたものであるかは理解できるだろう。ミリタリーとアヴィエーションがテーマの2016年秋冬コレクションを見ても、その一貫した雰囲気が伝わってくるはずだ。究極の機能服とも言われるフライトウエア、ミリタリーウエアのファンクションを理解した上での落とし込みが全てのプロダクトに反映されている。「普段のインスピレーションは自然の中から見つけることが多いけれど、フライトウエアや、ミリタリーといったイノベーティブな人工のプロダクトの発展性を探求することも好きなんだ。フライトジャケットに使われるエンジニアードダウン(再利用資源から利用したもの)を使って面白いボリュームのジャケットを作ったり、パラシュートのマルチリングシステムを応用したハードウエア、それと、ウィングのパネリングシステムをテイラーリングとアウターウエアのインスピレーションにもしている」と話すMeier。過去2シーズンはヒマヤラとサブサハラアフリカをテーマに、ユキヒョウ保護団体「スノー・レパード・コンサーバンシー」や野生のサイを守る「セーブ・ザ・ライノ・フォース」とのチャリティーパートナシップも組んでいた彼はそれを振り返り、「自分がインスピレーションを受けた土地に、何らかの恩返しをするのは自然なことだと思ったんだ。2015年の秋冬コレクションにはスノーレパードはとても力強いシンボルだったけど、彼らは地球上にもうほんの数頭しか存在しないっていうのは悲しいことだと思ったんだ」と話した。

“メンズラグジュアリーウエアの新しい基準のようなブランドになったらいいと思っているんだ。” 今後も〈OAMC〉は、他の良質なブランド同様需要を絶やさず、クオリティーとデザイン性の高いコレクションを提供し続けるだろう。さらに〈OAMC〉のイノベーティブで前衛的な姿勢はファッションに新たな美学と哲学をもたらすかもしれない。MeierとFaehのデュオがスタートしたこの革新的なブランドは、独自の信念とそれを裏付ける品質、デザイン、生産方法で今後も邁進していくはずだ。Meierは最後にこうまとめた。「〈OAMC〉はこれからも自然な形で成長していく。我々の努力と献身の結果がここまでの成果を築いてきたと言えるけど、同時に人々が我々の品質の価値を理解してくれているのも学ぶことができたんだ。今後は人々が〈OAMC〉の理念を体験できる場を拡大していきたい。そのフィールドは直営店やウェブストア、または信頼の置けるリテーラーかもしれない。いずれにせよ、その時に一番自然な形で実現していくよ。個人的には、〈OAMC〉がメンズラグジュアリーウエアの新しい基準のようなブランドになったらいいと思っているんだ。何もできずに顧客が去ってしまう変わり映えのないブランドではなく、新しいラグジュアリーのスタンダードを提案し、同時に多くのフィールドの人がブランドとの繋がりを感じられるように努めていくつもりだよ。」


Credits
スタイリスト
Francesca Cefis
フォトグラファー
Luca Campri
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