Interviews: Misha Hollenbach が語る P.A.M. の脳内アクティビティ

最新コレクションから今後のコラボレーション計画、アートとファッションをクロスオーバーさせるMishaへのインタビュー

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ファッション

「Misha Hollenbach(ミーシャ・ホレンバック)」と「Shauna Toohey(ショーナ・トゥーヘイ)」によるオーストラリア生まれのクリエイティブブランド〈P.A.M. (Perks and Mini)〉。ファッションプランドとしてだけでなく、コンテンポラリーアーティストとしても世界から注目される〈P.A.M.〉は、2015年に活動の本拠地をメルボルンからパリに移した(シドニーとメルボルンの店舗ももちろん継続中)。〈Undercover〉や〈C.E〉といった日本のブランドとも親交の深いMishaが来日した3月某日、時差ぼけと戦いながら展示会場で迎えてくれた彼に話を聞いた。サイケデリックなのにオーガニック、アナーキーだけどフレンドリーなMishaの脳内をレポート。

− まずは、今年の〈P.A.M.〉2016年秋冬コレクションについて聞かせてください。それとパリに移住したことでの変化も。
服は、パリに移住してから最初のコレクションだよ。僕らのパリのジプシーオフィスでつくったコレクションだね(笑)。出身はオーストラリアだけど、LAに住んだこともある。その後メルボルンに戻って、去年パリに移ったんだ。オーストラリアはどこに行くにも遠かったから、色々動きやすくするためにね。移住してからはたくさんのことが起こったよ。ファッションというよりは、アート関係のことかな。今度仕事でモロッコの織物を作る女の人たちに会いに行ったり、アルメニアにも行くんだ。オーストラリアに居てもインターネットでコミュニケーションは取れるけど、やっぱり実際に会う方がもっとディープな理解ができる。このコレクションはそういう変化の中でつくったんだ。“psy active”、“mutation”っていうのがテーマなんだけど、いくつか意味があって、一つはactivismを指してる。〈P.A.M.〉自体、たった4人で動かしているんだけど、この僕ららしいインディペンデントさを大事にしたいんだ。どこかに属して誰かに言われたことをやるんじゃなく、能動的にいること。親とか、政府とか、宗教とかに左右されず、自分自身でいるっていうactivism。それと“psy”は脳内での現象っていう意味で、脳をアクティブにすること、自分自身のなかでの気づきみたいなこと。mutationはそれと繋がる変化や異変だよ。

− そういった深いテーマでの今回のコレクションの出来はどうですか?満足してる?
満足なんてした事ないよ(笑)。クリエイティブな事をしていると、常にその先の事を考えたり、同時進行でアートエキシビジョンや本の制作やポップアップショップがあって、僕とShaunaには常に色々な刺激や新しい事が起こるんだ。だからクリエイティブに終わりがない限り、満足るす事はないね(笑)。

− あなたとShauna二人の役割ってどんなもの?
〈Perks and Mini〉は僕らのグラフィティネームを合わせたもので、僕らはグラフィティを通して知り合ったんだ。服でいうと、彼女がレディースライン、僕がメンズをメインでデザインしてるけど、そうだね、彼女は僕よりだいぶきちんとしていて(笑)、それでいてルースでワイルド。基本的に散らかすのが僕で、それをキレイにしてくれるのが彼女だよ(笑)。(ビデオを見せながら)この『MEAT SLAP』の時とかね。いろんな種類のソーセージでアートを作ったんだ。片付けてくれたのは彼女さ(笑)。

− これまでもたくさんのコラボレーションをしてるけど、そういったコラボレーションの経緯はどんなもの?
〈P.A.M.〉は僕の人生そのものなんだ。一つの事に固執しないで活動しているから、服だけじゃなく僕を取り巻く毎日の刺激がクリエイションに繋がるものだと捉えてるよ。だから何かとの対話や関わりの中でモノが生まれるのは自然な事っていう感じかな。服は、毎日を過ごす為の必要なクリエイション。飛行機移動や自転車に乗る事が多い僕にとって、パスポートが入る深いポケットのついたスウェットパンツとかをデザインするのは自然な事で、それと同じだよ。

− 〈Undercover〉とのコラボレーションなども?
うん。ジュン(高橋盾)とはもともと友達だったんだ。色々なモノをシェアしていくうちにコラボレーションする事になったのは自然の流れだよ。彼とは数年前にコラボレーションしたけど、実は近いうちにまたやるんだ。このインタビューの後、ジュンとミーティングするよ。コラボレーションをするときは、ビジネスの為とか、第三者に企てられたゴールに向かってするんじゃなくて、オーガニックに起こったプロセスを大事にしたい。取り決められたモノじゃなくね。そして〈Undercover〉とのコラボレーションも、他のデザイナーやアーティストとのコラボレーションも、その過程が僕にはものすごく大事なんだ。結果として作品はできるけど、その作品ができるまでに起こった出来事や経験が、僕にとってすごく価値のあるものなんだ。

− コラボレーションという行為の中で生まれた経験が、次に繋がっていくということ?
うん。コミュニケーションていうのが一番大事なんだ。クリエイティブ同士のコミュニケーション、そして本やマガジン、メディアを介しての幅広いオーディエンスとのコミュニケーションがね。次回(2017年春夏)のコレクションテーマは“ユートピア”なんだけど、それに合わせて5人のアーティストとコラボレーションしたTシャツやZINEも作るんだ。それとパリのアートファウンデーションと本もつくる。

− 話は変わるけど、オーストラリアで育ってどこでグラフィック、グラフィティを学んだの? 当時のオージーストリートカルチャーってどんなものだった?
学校にも行ってたけど、グラフィティは自分で描いて独学で学んだよ。インターネットが普及していない時代に育ったけど、それでも15歳でなぜかそういったアートを見つけて、自分で始めてみたんだ。当時のオーストラリアに特にストリートカルチャーと言える程のものは無かったと思う。ただ自分がブレイクダンスやスケートボードやテクノミュージックに触れていたから、そのシーンになりかけているみたいなものはあったかもしれない。でも自分はそこを追っていたわけでもなく、ただただ自分の熱意が向く方向でものを作っていた。それとよく空想していたんだ。実際はメルボルンにいる自分が、今ニューヨークの電車にペイントしてるって想像してみたりね。ニューヨークに行ったことなんてもちろん無かったけど(笑)。なんだかもう、気がついたらずっとそういう風に生きてきたんだ。

− いい人生ですね(笑)。
そうだね。就職の心配も無いしね(笑)。エナジーと、それに向かう献身さが必要だけど、それさえあれば生きていける。DIYの精神も好きなんだ。

− DIYといえば、オーストラリアの2店舗は自分で建てたって聞いたけど……
そうだよ。(メルボルンの店舗内の写真を見せながら)この店内の什器兼柱みたいなやつもね。“Holly Shit”って思うひどい出来の柱もあるけど(笑)、自分で方法を探ってものを作るのが好きなんだ。

− 今後どこかに店をつくるつもりは?
いつかパリにできたらいいなと思う。5月にLAでポップアップもやるよ。

− 今後日本でコラボレーションしたいブランドやアーティストは?
日本のマスターみたいな人たちとコラボレーションしたいとずっと思ってるんだ。(オノ)ヨーコとか。ブランドと言うよりはアート作品でのコラボレーションをね。それと、シン(Sk8thing)にはよくグラフィックを頼むしね。

− 〈C.E〉も自店で取り扱っていますよね。
うん。シンとは本当に長い間友達だよ。昔、〈P.A.M.〉、「Sk8thing」、「Fergadelic」− 彼は〈Palace〉のロゴ作ったアーティストなんだけど、そのメンバーで『The Changes』っていうアートイベントもしたんだ。どれくらい前かな、忘れちゃったよ。僕は時間の経過とかを把握するのが苦手なんだ。でもADD(attention deficit disorder: 注意欠陥・多動性障害)じゃないよ。そんな気がする時もあるけど(笑)。

− (笑)。最近のストリートカルチャーと言われるものについてはどう思う?
昨日の夜、東京の住宅街を歩いていて思ったんだけど、ユースカルチャーがすごくセーフな感じがする。ストリートカルチャーが何なのか、よくわからないんだ。そこにそう呼ばれているプロダクトがあるだけで……、昔は何か強いメッセージや主義・主張のある人たちが、サブカルチャーっていうものを組織していたけど、今はサブカルチャーそのものも細分化していて、ストリートカルチャーと呼ばれるものもあれば、未だにストリートに現れないものもある。うーん、わからないけど、僕がただ思うのは、〈P.A.M.〉も〈C.E〉も、隠されたメッセージ性の高いクリエイションやグラフィックを作っているんだ。だから例えば、シンのメッセージがキッズたちに伝わって、自分の生き方や考え方を決める助けになったらいいなと思うよ。シンはキッズたちの先生みたいな存在になり得ると思う。商品を買わなきゃいけないわけじゃない。ただその活動や作品に刺激を受けて、彼らの進化・成長の助けになったらいいと思うんだ。

− 〈P.A.M.〉を始めて以来ブランドのコンセプトやテーマは変わっている?
そうだね、よりディープになっていると思う。今年の元日に登山をして、あ、別に山の名前とかは覚えてないんだけど(笑)、やっぱり自然と繋がるのは大事なことだと思った。今年の秋冬でも、サイケデリックなグラフィックの中にマッシュルームを使ってるんだけど、自然には魔法みたいな力があるんだ。シャーマンがハイになるのと同じようにね。僕がオーガニックな食事を心がけるのも、自転車に乗って自然を感じることも、人間の本質が求めているからだと思うんだ。

− 現時点で決まっている今後のプロジェクトなどはありますか?
〈Undercover〉とのコラボレーション、次のシーズン“ユートピア”でのZINEとTシャツは話したね。それと、〈Emotionally Unavailable〉と2つの冊子を作るんだ。モデルは「秋元梢」、撮影したのは「新田桂一」だよ。それから、〈Reebok〉とシューズのコラボレーションをする。あと、今とりかかっている2017年春夏は、ユニセックスアイテムを増やすつもりなんだ。メンズウエアを買う女の子たちが増えてきたっていうトレンドもあると思うけど、女性の力っていうのはもともとすごく大事なのに、ストリートウエア、特にアメリカンカルチャーでは、女性を含まない傾向がある。でも僕は、男性のための服じゃなくて、“clothing for human (人間のための服)”だと思って作っているし、それを受け取る側には女性も含まれて然るべきだと思う。それとShaunaと2人の娘と生活してて時々感じるんだ。女の子といる方が楽だなってね(笑)。

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