溢れかえるスニーカーコラボレーションをどう思う?

複数のブランド名を同時に手にすることができるコラボレーションにうんざり?

フットウエア
17,550 Hypes

ある意味これは『HYPEBEAST』のせいかもしれない。というよりも、少なくとも『HYPEBEAST』がこのスニーカーコラボレーションの“散らかり”に加担していることは確かだろう。今や多くのコラボレーションシューズは、新鮮味に欠けるビジネスモデルと化してしまった。少なくとも2週間ごとに既存モデルに何らかのアレンジが加えられたコラボレーションモデルが登場しているように思えるが、一体誰がこれほどコンスタントなダブル、トリプルネームのスニーカー発売の応酬すべてについていけるのだろうか? もはや関係者以外で、どれくらい人の心に響いているのだろう?

2002年の〈Nike SB〉と〈Chocolate Skateboards〉の「Dunk Low」。タグに“The Respect is Mutual”と印された2003年の〈adidas〉と〈A BATHING APE®〉の「Superstar」(皮肉にも昨年〈BAPE®〉は〈PUMA〉ともコラボレーションしているが……)。さらに〈adidas〉と〈ALIFE〉の「Attitude Hi DBL」が続き、2004年の〈ASICS〉とスニーカーショップ『Proper』の「GT II」などの後は、コラボレーションスニーカーはごく当たり前に、そして頻繁になっていった。

2005年の“Superstar 35”はスマートな企画だった。人気のシェルトウ35周年を祝い、35のエディションが登場し話題となった。のちに〈adidas Consortium〉ラインへと繋がっていくが、これはスニーカーの中でもアイコニックな「Superstar」というモデルだからこそのインパクトと話題性のあるプロジェクトだったと言えるはずだ。現在ではどんなモデルでも15、20、25周年に、年と同じ数のコラボレーションを行う傾向にあるが、全てのモデルにそのような大袈裟なバースデーパーティーが必要なのだろうか?
コラボレーションのカラーウェイさえバリエーションを増している。多くの場合、以前は1つのデザインを完成形としてリリースしていたが、購入者の好みに合わせているのか、今では1度のコラボレーションに多数のカラーウェイを同時にドロップすることが多くなっている。しかしそうして色合いが増える度に、その1つのコラボレーションデザインの価値が半減するという見解もできてしまう。

さらに根拠のないコラボレーションも、ハングリーな消費者へ向けて増加の一途といったところ。一時は見た目がクールならば良しとされていたが、今ではそのシルエットに直接的な縁もゆかりもない人物や動物、人気の飲料など、何かしらのストーリーがどこからともなく現れる。更に我々の肩を落とさせるのは、コラボレーションの再生産だ。微かなマイナーチェンジを加えたコラボレーションモデルを繰り返しリリースした結果、アウトレットストアで悲しいほど安い値段で売られていることも少なくない。そして、せっかくのコラボレーションもプロジェクトの予算や優先順位、スケジュールによって様々な制限が課せられるため、デザインの選択肢は「NIKEiD」や「miadidas」より少しだけ多い程度、という企画も存在するのが現状だ。

今後のスニーカーコラボレーションの行方を見据えるのは難しいが、コラボレーションにより世間へのスニーカショップの認知度は向上し、別ジャンルのファッションとのクロスオーバーを実現させたのも事実。『KITH』は世界中から注目され、『Concepts』はさまざまなイベントを打つなどスニーカーカルチャーを盛り上げる存在になった。さらにこれまで〈PUMA〉は〈Mihara Yasuhiro〉と、〈adidas〉は〈Yohji Yamamoto〉と、〈Nike〉は〈Junya Watanabe〉、〈CDG〉といったビッグネームとタッグを組むことで、ハイエンドなマーケットにアピールしてきた。現在では〈adidas〉と「Kanye West」、〈Nike〉と〈Undercover〉の「GYAKUSOU」が挙げられるが、言い換えれば、このようなハイエンドブランドや人気のコンテンポラリーブランドも、スポーツウエアブランドが持つ最新のテクノロジーと生産背景の恩恵を受けているのだ。そしてこの相互効果が、コラボレーションをする本当の理由である。

今後も各スポーツウエアブランドは、それぞれ違ったコラボレーションのアプローチをして行くはずだ。〈adidas〉は小規模でエクスクルーシヴなコラボレーションをコンスタントに行う姿勢の一方、〈Nike〉はコラボレーションするブランドの数を減らし〈Pigalle〉などといったブランドと長期間に渡るパフォーマンス要素を主にしたプロジェクトを進行する方針のようだ。どちらにせよ、コラボレーション成功のものさしは、今後も消費者の評価と売り上げによって測られるのだ。

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