Noah のものづくり:新たなクールの定義と若者の意識について語るブレンドン・バベンジン
「文化的な認識の上でのクールっていう定義をシフトさせていくことに興味がある」

先日、自身のレーベルのジャケットの価格設定について語るブログを公開した〈Noah(ノア)〉のファウンダーBrendon Babenzien(ブレンドン・バベンジン)が、『Jocks and Nerds』のインタビューに登場。〈Supreme(シュプリーム)〉のクリエイティブディレクターを離れ、〈Noah〉を運営するBrendonに、服の価値、ものづくりの在り方などについてを訊いた内容となっている。ファストファッションなどでみられる価格帯の背景について彼は、「君が毎回チープに作られたものを買って金を節約するたびに、誰かが損をしているんだ。おそらくそれは人として経験すべきではない過酷な労働を強いられている人たちだよ」と語る。10代を地元のサーフショップのスタッフとして過ごした彼にとって環境問題とは常に身近に意識していた事象であり、現在のファッション業界の効率の悪さや環境への影響もより気がかりなものであると言う。「例えば僕らは日本の生地をイタリアに送り縫い合わせる。そしてそれをアメリカに取り寄せ、店舗で販売したり、オンラインショッピングで全世界に配送するんだ。こんな環境に悪い事ないだろ?でも公平な生産背景と質の伴ったプロダクトを作るには今はこれがベストなんだ。今後僕らが大きくなって、その空輸の数を減らしたいと思ってるんだ。」などと語った。
そしてものづくりについて、以下のように述べている:
素材に関しては、ただ単純に良いものを求めているだけなんだ。僕の焦点は品質なんだ。良質なものを作る、古くからある多くの工場と仕事をしているから、工場と同じ視点でものづくりができるようになった。そして工場を決めるときに大切なのは彼らと一緒に仕事をして、その工場のコンディションを理解する事。そしてよりシンプルなのは、公平な労働基準法や正当な環境保護対策が整っている国で作業を行う事。そしてそういった工場探しは、必ずと言っていいほど僕が信頼している人の助言の元に行っているんだ。
〈Patagonia(パタゴニア)〉がある種とても理想的だと語るBrendon。「仕立よくつくられた衣類も、ファッション性が無くなるとたちまち度外視される事は大いにあります。ではどのように今を感じる服と普遍的な服でいる事を両立しているのですか?」という質問に対しては、以下のように述べた:
それは複雑な質問だね。そもそも、僕らは自分たちをファッションブランドだとは思っていないんだ。(いわゆる今の)“クール”になりたいわけじゃないからね。それよりも、文化的な認識の上でのクールっていう定義をシフトさせていくことに興味がある。ぼくらは、人としての選択そのものが、その人を“クール”かそうでないかを決めるファクターになったらいいと思ってるんだ。
今の世の中、“クールに見える”ならそれで十分になってるだろ。君がもしサイテーなヤツで、劣化してすぐダメになるってわかっているものを消費していたとしても、もし君が“クールに見える”なら、もしくは君がハンサムだったり、有名だったり、誰か有名な友だちがいたりさえすれば、それがすべてへのフリーパスなんだ。で、質問の答えだけど、僕らは、僕らのお客さんに、正当な理由で僕らの商品を買ってもらいたと思って商品を勧める。流行りが去ったら忘れるんじゃなくてね。だから彼らが僕らと同じ文化的意識をもっていてくれるなら、トレンドやファッションっていう言葉は彼らの選択とは関係ないものになるんだよ。