Interviews: 庄田良二が見据える新しい ASICS Tiger の未来とは
「ASICS Japan」の「庄田良二」取締役ライフスタイル事業部長が語る、〈ASICS Tiger〉のこれから

2015年1月、新しいライフスタイルブランドとしてリローンチした〈ASICS Tiger〉が、ブランド初となる直営店『ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI(アシックスタイガー大阪心斎橋)』を2016年9月21日(水)に待望のオープン。関西発となる新コンセプトストア、そして今後の「ASICS Tiger」のブランド展開に関して、「ASICS Japan」の「庄田良二」取締役に話を伺った。
–今回、『ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI』のオープンを決めた理由を教えてください。
〈ASICS Tiger〉はヨーロッパとアメリカでは人気だったのですが、日本ではこの一年、きちんとアプローチはできていませんでした。ブランドとしてきちんと確立できていなかったので、ただ復刻するのではなく、今の時代に合わせてリノベーションしようと、コンセプトから全て変えようと決意。実際にどのような商品があるか、どのようなブランドであるかをお客さまに説明するコンセプトストアを作ろうと思い、今回オープンを決めました。
–〈ASICS Tiger〉の復刻に合わせて、さまざまなキャンペーンを行ってきたと思いますが、どのような効果がありましたか?
一部のスニーカーフリークの方々たちには効果があるアプローチはできたかなと思っています。日本でもきちんと商品を販売できていますが、どうしてもコラボ商品だとか、日本で手に入らないような特別な一足とかが売れていて、インラインがそこまで伸びない状況だったので、ブランドとして日本で新たなにリローンチするという意味を込めてキャンペーンを行ってきました。
–『ASICS Tiger OSAKA SHINSAIBASHI』のコンセプトやお店の詳細を教えてください。
今回のコンセプトストアにはさまざまな仕掛けがありまして、「物を売る」という場所ではなく、「ブランドを紹介する」ということを定義にしています。今回私は、売り上げももちろん大切ですが、私たちのスタッフも販売員というよりも「ブランドアンバサダー」と定義し、物を売るスタッフというよりはブランドと商品を説明するスタッフという位置付けにしています。少しほかのブランドとは違う形にしていて、お客さまに対しては五感で楽しんでいただけるような空間にと、スピーカーを10個装備。真ん中に置いたテーブルも〈ASICS〉の新しいロゴを象嵌(ぞうがん)と いって、切り抜いて、中に入れ込むという工夫をしました。また、大理石の柄をタイガーの背中の柄に見えるように貼り付けたり、そういったこともしています。ただいるだけでも居心地の良いお店、若い世代から年配の方、そして男女問わずお越しいただけるようなスポーツ好きの遊園地みたいなストアにしたいと思いました。お客さまには実際に商品を見ていただいて、コンセプトストアはもちろんですが、ECで購入する、専門店で購入するなど、この場所がハブの役割になれば嬉しいです。
–なぜ心斎橋を選んだのでしょうか?
元々〈ASICS〉の本拠地が関西ということと、もう一回日本から発信していこうという思いの中で、大阪を選びました。多くの人から東京からではないのか? と言われるのですが、私は大阪から発信したい気持ちが強かったのです。もちろんまだ、世界の拠点である主要都市といわれるニューヨーク、ロンドン、パリ、国内では東京も考えています。
–コンセプトストアではさまざまなイベントを仕掛けていくのでしょうか?
そうですね。ストアの真ん中にDJブースを置いたり、ガードレールに腰掛けて音楽を楽しんでもらったりできるスペースも今回作っていますので、これからイベントを随時開催できればと思っています。
–〈ASICS〉が日本のブランドだと知らない人も海外では多くいると聞いたことがあるのですが、今後、〈ASICS Tiger〉を海外で展開するにあたって、日本ブランドとして展開するストラテジーがあるのでしょうか?
ストラテジーとしては特に考えてないのですが、どこかに日本のエッセンスを取り入れるということは常に頭の中にあります。例えば、今回のコンセプトストアには“日本のストリート”を意味する、ガードレールを入れました。ガードレールはストリート感はありますけど、日本の安全性というのも表現していますね。ちょっとした仕掛けで日本の雰囲気、テイストを味わってもらえるよ うな戦略は練っていきたいと思っています。そして日本のブランドですから、日本の香りというのは感じてもらいたいですね。音楽もグローバルに活躍する日本人アーティストを採用したり、それを店内で流したりしたいと思っています。
–4年後のオリンピックに向けては何か予定していることはありますか?
私はまだ、特に用意していないです(笑)。ただスポーツとライフスタイルが融合してきている中、今その垣根がだいぶなくなりましたよね。おそらく今の時代とオリンピックの時はトレンドも含め、だいぶ違ってくると思うんです。その中に、今後の2年間でさまざまことに対応できる能力をいまのところ付けようと思っています。予期せぬ未来に私はどうチャレンジしていくかということを考えることが必要なのですが、どんな新しいスポーツがあって、なにが流行ってとか誰もわからないと思うんです。ただ競技にスケートボードが入ったりだとか、いわゆるストリートスポーツが入ってくるので、私たちはそれとどのように向き合っていくかを今後考えていきたいと思っています。
実際に競技とは関わりませんが、それ以外のスポーツに関することのサポートもしていきたいですね。例えば、今、日本の公園でキャッチボールが禁止されています。 ですので、そのキャッチボールができるスペースを設けるなどといった、競技だけでなく私たちは体を動かすことへのサポートをしていきたいと思っています。