Dash Snow の遺族らが McDonald's を訴える
Dashの”SACE” アートワークをヨーロッパとアジアの店舗で無断使用

21世紀序盤のニューヨークダウンタウンカルチャーの代名詞的存在とも言える「Dash Snow」。27歳という若さでこの世を去ってからも、彼のセンセーショナルなアート作品は多くのファンを魅了している。「IRAK」グラフィティクルーのメンバーとしての彼の作品は、彼の“SACE”タグとともにニューヨーク市街に点在していたほか、グラフィティだけでなく映像や写真作品も制作していた彼は、自身の経験やライフスタイル、ストリートに基づくもの(ボディーパーツ、バイオレンス、セックス、ドラッグなど)を被写体としたコラージュ写真などでも知られており、
アメリカ、ヨーロッパを中心に今なお世界中から人気を博すさまざまな作品を残したアーティストだ。
現在「Dash Snow」の意思と遺産は彼の財団に受け継がれており、最近では〈Supreme〉とのデッキやTシャツのコラボレーションなども記憶に新しいが、最近になり彼のタギングがイギリス、フランス、そしてアジアの国々の無数の『McDonald’s』の店内に無許可で使用されていたことが発覚。訴訟問題になっている。Snowの遺族らは、『McDonald’s』の新たなマーケティングキャンペーンのセンターピースとして彼の代名詞的な“SACE”のアートワークが数百の店舗で使用されていたことに抗議。しかし遺族らのクレームにも関わらず、このキャンペーン以降売り上げが9%上昇している『McDonald’s』側は撤去を拒否していた。そこであの弁護士「Jeff Gluck」の助けのもと、遺族は正式に該当店舗からSnowのアートワークを取り除くよう『McDonald’s』を訴えることに。以下よりこの訴訟についての概要と「Jeff Gluck」からのコメントを見てみよう。
「Dashの遺族は、彼のレガシーを守るため、McDonald’sが早急に無断使用しているDashの名前とアートワークを該当店舗から撤去するよう正式な訴訟を起こすことを決めました。遺族は、アーティストの名誉を守るために戦うことを決意したのです。」
- 英、仏、そしてアジアにおける数百に及ぶ『McDonald’s』店舗で、Dashのアート作品と彼のシグネチャーである“SACE”が財団の許可なく使用されています。
- 『McDonald’s』はDashの遺族による再三に及ぶアートワークの撤去を求める訴えを拒み続けてきました。
- 『McDonald’s』はこのDashのアートワークを含む店舗の内装へデザインをリニューアルして以降、9%の売り上げの上昇が報告されています。
- Dashの作品は、『Sotheby’s』や『Christies』といった世界的なオークションで数百万ドル(数億円単位)の値がつく価値のあるものです。『Whitney Museum』のパーマネントコレクションとしても所蔵されているほか、ロンドンの『Royal Academy』、パリの『Palais de Tokyo』、ベルリンの『Pergamon』、ニューヨークの『Brooklyn Museum』でも展示されている美術作品です。
一般的なグラフィティ(落書き)ではなく、美術作品として認められているものを『McDonald’s』が無断で転用しているという点を訴えている「Jeff Gluck」。今後の動向が気になるところだ。