Factory: トラックタープの行方は? FREITAG の工場の全貌を知る
ユニークなコンセプトとデザインによってファンを虜にする FREITAG のお膝元チューリッッヒへ
スイス・チューリッヒを拠点に展開するブランド〈FREITAG(フライターグ)〉。〈FREITAG〉といえば、トラックのタープ(幌)を再利用して制作したメッセンジャーバッグが有名だろう。1993年に「Markus Freitag(マーカス・フライターグ)」と「Daniel Freitag(ダニエル・フライターグ)」の兄弟がスタートして以来、そのユニークなコンセプトとデザインによって世界中のファンを虜にし、、2013年9月には、1号店を構える銀座に続き、日本2店舗目となる渋谷店をオープン。その人気は、日本においてもとどまることを知らない。今回、そんな〈FREITAG〉のプロダクトが生まれる工場を訪問。チューリッヒという自然環境に恵まれた場所と、ブランドがかかげるリサイクルの概念がどのようにそこで掛け合わされているのか? その工場の全貌に迫る。

タープを買い付けるバイヤーは4人
プロダクトのベースになる重要なタープは、毎年350トンほど運ばれてくる。そのバイヤーは4人で、彼らは、5〜8年ほどスイスやドイツ、ポルトガルなどのヨーロッパを走ったトラックのタープをメインにピックアップ。その色はさまざまだが、ブルーやグレーが多く、特に貴重なのはブラックだという。ブラックのプロダクトを見つけたら、それはかなりレアなものだと言えよう。基本的に、タープの50パーセントは使えないもので、ほかはチューブに使用されたり、馬小屋のマットに使用するなど、さまざまな用途のためにリサイクルへ。そのリサイクルシステムも徹底したもので、仕分けがきちんとされるように3つの専用のボックスが設置されている。
カットされたタープは、色分けして倉庫へ
ほどよい大きさにカットされたタープは、それぞれの色に分けられて倉庫へ。現在、在庫にあるものでだいたい半年ほどもつという。その後、使用するタープは、特殊なウォッシングマシーンで洗浄して干し、プロダクト用にカッティングできるように準備。そこにもリサイクルシステムが取り入れられているというので、驚きだ。その汚れた洗浄水を流さず、再度洗浄する熱で水をきれいにするという。工場には、地下に約36万リットルの雨水を貯められる場所もあり、ほぼその雨水で洗浄作業がまかなえるようだ。
ライフラインでもあるタープのカッティング
重要な役割を担うのが、タープのカッティング。というのも、〈FREITAG〉のプロダクトはこの世に一つとして同じものは存在しないからである。どのようなタープの状態、デザイン、カラーリングが購買者にとって魅力的なのか? 完成するプロダクトをイメージ、そして理解しながらカットしなければならない。手早くカットする過程の中で問われる彼らのセンスは、〈FREITAG〉でだからこそ磨かれるものなのだ。その後、スイスには大きな縫製工場がほとんどないため、基本的にポルトガルやフランス、チュニジアなどの国で縫製される。作られるバッグの数は、1週間で約500個ほどだという。

マーケットリサーチとしても活用するeコマース
〈FREITAG〉を語る上でも重要になるもののひとつが、eコマース。eコマースでは常に4500点以上のアイテムを展開している。ブランドが作るのは唯一無二のプロダクトのため、工場内にあるスタジオでは円滑に撮影が進められている。世界中からアクセスがあるオンラインストアを使って、次に何かを仕掛ける際のマーケットリサーチとしても利用されているというeコマース。ちなみに、アジアにおいては最近、タイからのオーダーが増えているようだ。

企業同士がアイデアをシェアする場所
〈FREITAG〉の工場兼オフィスは創立当時、チューリッヒの中心部にあったが、会社拡大に伴い、2011年に中心部より少し離れた「NŒRD」と呼ばれる場所へ移転した。実はここにはいくつかの会社が入っており、オフィスシェアを行っている。広々としたカフェテリアもあり、昼にはさまざまな会社で働くオフィサーたちが一緒にランチをとって、アイデアや意見を交わす。このカフェテリアは、〈FREITAG〉がディレクションをしていて、中にある家具などもすべて兄弟が北欧をはじめとする国から集めたものだという。気持ちの良いカフェテリアの外には、アイコニックなタープが装飾されている。
〈FREITAG〉の公式サイトは、こちら。