Interviews: 下野宏明が語る WHIZ LIMITED の15年間とは?
ブランド設立から15周年を迎えた、「下野宏明」氏がデザイナーを務める〈WHIZ
ブランド設立から15周年を迎えた、「下野宏明」氏がデザイナーを務める〈WHIZ LIMITED〉。2015年3月には、その15周年を記念した大規模なアーカイブショーを開催したのも記憶に新しい。そんな東京のストリートブームを牽引してきた一人である下野氏にインタビューを敢行し、〈WHIZ LIMITED〉のこれまでやブランドを支えてきたもの、そしてアーカイブショーを行った後の心境やこれからについて伺った。そこから見えてきたブランドが大切にし続けているもの、そしてモチベーションになっているものとは?
15周年を迎え、アーカイブショーを開催
“プレスルームがいっぱいになるぐらい15年分のものを集めてショー用にスタイリングして……もう二度とやらないような大規模なコレクションになったと思います。”
—3月に行ったショーについて聞かせてください。“RIGHT HERE”というテーマのもと、これまでの15年間のアーカイブを見せるというユニークなショーでしたが、それをやろうと思った理由は何でしょうか?
ショーは“ストリート”というシーンからは遠いものなので、僕のまわりでやっている人はもちろんいません。その中でこれまで4回続けてやってみて、ある程度そのメリットやデメリットなど、いろいろ感じたことがありました。それで今回は、区切りでもある15周年だったので、アーカイブショーをやることにしたんですよね。みんなに見てもらう、いい機会でもありましたし。ただ、アーカイブをメインにしたので、新作は一瞬しか見せられませんでしたが(笑)。でも、プレスルームがいっぱいになるぐらい15年分のものを集めてショー用にスタイリングして……もう二度とやらないような大規模なコレクションになったと思います。自分自身でも、服を集めている最中はもちろん、ショーを創り上げるまでの過程において、15年をきちんと振り返れました。
—演出でフェンスを使っていたのが印象的でした。
僕の中で15年間、インディペンデントのブランドとしてずっと戦ってきたという認識があるので、それで表現するためにフェンスを作ったんです。ショー会場はリングのようなイメージで、ケージの中で戦っている感じ。10年ぐらい前にも、ショップをフェンスで囲っていた時期があったので、昔から〈WHIZ LIMITED〉を知っているお客さんは、そのときのことを思い出したかもしれませんね。
—ショーの音楽にジャパニーズヒップホップを選んだのはなぜですか?
僕がサブカルチャー、服とか音楽を好きになった20年前、日本のラップもすごく好きだったんですよね。今ももちろん好きだし、服も音楽も今も変わらず同じものが好き。だから、過去の自分のものを全部表現したいと思ったときに、音楽ならずっとかっこいいと思っているジャパニーズヒップホップを選びました。「KANDY TOWN」、「SIMON」、「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」、「S-WORD」、あとフィナーレにはハードコア・パンクバンド「NUMB」の曲を使っています。
ブランドを支えてきたもの
“実際にお客さんと触れ合う機会が多かったので、それがいつもモチベーションにつながっていたのかも。売り上げのためにではなく、単純に人と接しているのが一番楽しくて、ブランドを好きな人たちには自分から「ありがとう」と直接言いたい。”
—ショーが終わってからこれまでに関して振り返る機会もあったと思いますが、ブランドをスタートした頃と今では、どのように環境が変わりましたか?
同世代がブランドを辞めてしまっているので、ほとんど同世代がいませんね。僕はスタートした時期も早かったけど、2005年頃は1人1ブランドが当たり前だったから、知っているだけでも100以上ブランドあったと思います。
—当時は、雑誌を見ても8、9割が日本のデザイナーブランドやショップで、原宿や恵比寿、代官山を紹介していましたよね。懐かしいです。一つのブームが去ったとも言えると思いますが、下野さんは、環境が変わった中で、どうしてモチベーションをキープし続けられたのでしょうか?
まず、お店があること。僕はコレクションの立ち上がりの日にはお店に立つし、年始も立ちます。あと、イベントの日も立ちますね。2年前まで、5年連続で7月にイベントをやっていたんですが、そこに全国のお客さんが来てくれます。あと、自分自身が地方に行ってお客さんに直接会ったりもしていました。実際にお客さんと触れ合う機会が多かったので、それがいつもモチベーションにつながっていたのかも。売り上げのためにではなく、単純に人と接しているのが一番楽しくて、ブランドを好きな人たちには自分から「ありがとう」と直接言いたい。それに、どういう人たちが〈WHIZ LIMITED〉を着ているのかも知りたかったし、カジュアルな会話をしたかったから。
—ブランドのあり方をどのように定義していますか? ブランドを立ち上げたときと今の想いは変わりましたか?
正直、〈WHIZ LIMITED〉は変わったデザインのブランドだったから、マスなものにはならないだろうと思っていて(笑)。だからこそ、多くの人ではなくブランドを好きな人たちを悲しませたくはないという気持ちがあって、あえてセールをしなかったり、オンラインで買える店もコントロールしたり……そういうことを続けることが、1日でも多くブランドを続けられることになるのかなと思って今もずっと継続しています。変わったことだと、自分でコントロールして全部やっていたことを、今はバランスとりながら仕事をするようになりましたね(笑)。みんなそうだと思いますが、自分のブランドだからこそ、軽く扱われたくないという気持ちはすごく大きかったです。
—若い頃の経験は、服作りや〈WHIZ LIMITED〉を続けるにあたって、どのように反映されていますか?
まず、「自分で動かないと何も始まらないんだ」って思いましたね。“ものを売る”ということは、待っても誰も来ない。自分でTシャツを作ろうと思ったら、Tシャツを買うところから探して、MACでデザインして、プリント業者をタウンページで探して、場所を見つけてそのドアをたたく……ブランドをスタートする前にそんな経験があったからこそ、今につながっていると思います。
—15年やり続けるって、なかなかできることではないですよね。
これからは特に、15年やり続けることは難しいかもしれないけれど、同じことをハッピーではない状況のままやり続ける必要はないと思います。僕はたまたま、楽しくここまで続けられたので、“すごい”という認識はないですね。
—自分自身を信じて続けてきた、ということでしょうか?
そうですね、自分のキャパシティの範囲内で、自分の足で立てることをやり続けたいと思っていたので。
—海外のマーケットは、意識していますか? 海外ブランドで気になるものは?
チャンスがあったら売ってみたいと思いますが、海外のためにサイズを変えるとかは考えていないです。海外ブランドに関してなんですが、歳を重ねたせいか最近は特に、日本人が作っているものとか“メイドインジャパン”、インターナショナルブランドでも日本人がデザインしたものをできれば買いたいと思うようになりましたね。昔はもちろん、海外のヒップホップも聞いたりしていたから、外にも目は向いていたけれど、僕が洋服の影響を受けたのは原宿や渋谷にいる先輩たちからなので、完全に日本人のフィルターを通しているものなんですよ。だから、ずっと“東京”っぽいスタイルが好きなんです。
—今後の展望や予定していることを教えてください。
今のところ、何も決まっていないです。いつも計画的にできるものはできるし、できないものはできない。ビジネスだけの付き合いじゃない人たちと、いいタイミングで仕事をしているけど、本当にタイミング次第だったりもするので、そのときが来たらスタートします。




















