ファッション業界で注目を集めるヴィジュアルアーティスト 10人

これまでの歴史を振り返ると、アートとファッションはずっと並行して存在してきた。「Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)」は1974年に発表した「Yves Saint

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これまでの歴史を振り返ると、アートとファッションはずっと並行して存在してきた。「Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)」は1974年に発表した「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」のポートレートで、ファッションアイコンへの賛美を示し、アートとファッションの間にある親密な関係性を表現した。また、「村上 隆」や「Andrew Saravia(アンドリュー・サラヴィア)」ら著名なアーティストによる〈Louis Vuitton〉のためのアートワークは、その耀かしいパートナーシップの一例といえるだろう。

今回はアートとファッションの繋がりの中で注目を集めている、クリエイティブな10人のヴィジュアルアーティストをピックアップ。新風を巻き起こしているアーティストをぜひともチェックしてほしい。

Sterling Ruby

プロスケーターのかたわら、建設作業員として働いていた「Sterling Ruby(スターリング・ルビー)」は画家としてのキャリアなど望めないかもしれない、と思っていたそうだ。ましてやトップデザイナーである「Raf Simons(ラフ・シモンズ)」とのコラボレーションができるようになるとは、思ってもみなかった。 Sterlingの作品はセラミックやコラージュ、映像などさまざまなパターンで作られる。〈Raf Simons〉の2014-15秋冬のランウェイショーで披露したのは、コラージュやグラフィカルなデザインが描かれた独特な世界観。クラシックなメンズウエアはキャンバスに変わり、スプラッターやブロックプリントを施したファッションとアートが融合した“作品”になった。上品でありながらも、どこか反逆的なSterlingのスタイルは、さまざまなカルチャーが交わり合うアートの世界で本領を発揮している。

Haculla

ニューヨークアートシーンでその名を轟かせる「Harif Guzman aka Haculla(ハリフ・グズマン aka ハーキュラ)」は、“暗黒時代” というキャラクターでよく知られている。古典における巨匠たちを中心に築き上げられているが、力強く、物議をかもすのが彼のスタイル。「Andy Warhol」のかつてのたまり場とも言われているイーストヴィレッジのウォールや、ローワーイーストサイドのダイブバー、ソーホーのスタジオロフトにはみな「Haculla」のタグがディスプレイされている。〈Ralph Lauren〉、〈Burton〉、〈Del Toro〉とのコラボレーションの後、昨年、GuzmanはHaculla名義でストリートウエアの新しいラインを立ち上げて、アートからファッションへの変遷を探求した。同ラインでは、自身の定番と言えるワードローブをフィーチャー。最近のファッションウィークのストリートスナップでは、彼がデザインした服を着こなしているモデルたちが登場している。

CYRCLE.

ロサンゼルスのストリートアート集団「CYRCLE.」は、アートを社会と政治を批評するための表現手段として考えている。彼らのスタイルはルネッサンスの図像学と大胆なタイポグラフィのミックスで、太いラインと魅力的なカラーで構築される。彼らは大型のミューラルやインスタレーションで 「Woodkid」、「JR」、「Pharrell」、「Chad Muska」、「James Lavelle」らとコラボレーション。〈DC Shoes〉との2014-15年秋冬コレクションでは、グループのトレードマークとなっているモチーフをアパレルに落とし込んで披露している。また、彼らが行っている“BLACKCYRCLE”プロジェクトでは、これまでと全く異なるアプローチが見られる。現在、期間限定で公開されているウェブページでは、ダークでハイファッションの傾向が強い作品が閲覧可能だ。

Todd Francis

“スケートアート”という分野には、新人は存在しない。ロサンゼルス出身の「Todd Francis(トッド・フランシス)」は、1993年以来ボードのグラフィックをデザインしている。アイコニックな〈Anti hero(アンタイヒーロー)〉のイーグルロゴを担当しながら、Toddは〈New Deal〉、〈Spitfire〉、〈Real and Stereo〉とも仕事をし、2008年には〈Element Skateboards〉のアート・ディレクターとなった。Toddは自身の作品において、彼のレパートリーであるポリティカルで風刺的なテーマをミックスさせ、メッセージを表現している。また、〈Element〉のシーズンごとのリリースとは別に、Toddは〈HUF〉との2015春のカプセルコレクションでのコラボレーションに加えて、〈Nike〉、〈Vans〉 、〈Oakley〉とも継続的に仕事をしている。インディペンデントなスタイルを貫くToddの際立った美的センスは、ファッションの領域にインスピレーションを与え続ける。

Ernesto Artillo

ファッションデザイナーはよくアーティストからプリントやパターンにモチーフを借りて、裁断をし、縫製して仕立てる。スペイン人アーティスト「Ernesto Artillo」はその対極で、ランウェイのモデルたちのイメージやハイファッションのルックブックが彼のコラージュの基礎となる。ファッションイメージを建築や家族写真、ルネッサンス芸術などあらゆるものからわくわくする要素とをブレンドし、ファッションとアートの世界を一つにするヴィジュアルで表現する言語を生み出した。彼の美しく、シュルレアリスム的な表現が〈Dolce & Gabbana〉、〈Pepe Jeans〉、〈Harvey Nichols〉、〈Swarovski〉といったファッションブランドとのコラボレーションによって実現されている。最近では香港の〈Izzue〉の15周年を記念して、そのカプセルコレクションでカスタマイズされたコラージュを行った。

Aerosyn-Lex Mestrovic

カリグラフィーを用いた古代の彫刻と現代のユニークなヴィジュアル言語をミックスさせたアルゼンチン出身のアーティスト「Aerosyn Lex」の作品は、独自のジャンルに立つ。2014年には、『MoMA』のアーモリー・アートウィークで作品を発表したことでも注目を浴びた。カラフルなインクを使った水彩画のような表現方法は会場を夢の国へ誘い、「CFDAファッション・アワード」も受賞している。最近では〈Public School〉、〈ISAORA x Quicksilver〉とのコラボレーションのほか、〈KENZO〉、〈Nike〉 、〈Rodeart〉とのコラボレーションでは、ファッションとアートの世界で活躍するLexの素晴らしい才能が表現されている。

Aaron Kai

ハワイのポストポップアーティスト「Aaron Kai(アーロン・カイ)」はそのカラフルな波のモチーフによって広く知られている。ビッグアイランド出身のAaronは、少年時代のサーフィン体験からトレードマークとなっているモチーフを発展させ、ヒップホップと融合させた。彼の作品は、「POW! WOW! Hawaii」や「Art Basel Miami Beach」のほか、〈Infinite SF〉、〈GRVTY〉、〈The Good Company〉といった多くのストリートウエアストアでもフィーチャーされてきた。Aaronは今、ファッション界に対しての関心を強め、〈The Hundreds〉の本店をペイントしたり、〈In4mation〉のカプセルコレクションでコラボレーションしたり、さらには自身のブランド〈Lemon〉でリリースされているデザインも継続している。Aaronは現在、ワールドツアーの真っ最中で、各都市に彼のシグネチャーとなるモチーフをペイントしているようだ。

Fergus Purcell

「Fergus Purcell(ファーガス・パーセル)」は英国人イラストレーターで、90年代の初めからグラフィックデザイナーとしてファッションに貢献してきた人物だ。スケーターでもあるFergusは、 〈Silas〉と 〈Palace Skateboards〉のロゴとグラフィックを担当し、カルト的な人気を得たことでも知られている。また、〈Marc by Marc Jacobs〉のグラフィックを担当し、エネルギッシュなカラーとプリントが印象的な、BMXにインスパイアされたコレクションを製作した。ファッションから離れることなく、2014年、Fergusは〈Silas〉の創設者である「Sofia Prantera」とともに、90年代のスケートシーンを彷彿とさせるブランド〈Aries〉を立ち上げた。〈Slam City Skate〉の「Gareth Skewis」、〈size?〉、〈Footpatrol〉の「Paul Ruffles」 が率いるエキサイティングなコラボレーションプロジェクト、〈LFT FLD〉のグラフィックも担当するなど、多岐に渡って活動している。

Gorey

パリで悪名高いグラフィティ集団〈P.A.L.〉 の一人として、「Seb Gorey(セブ・ゴーリー)」はグラフィティからその鋭い感覚の腕を磨いた。彼の初期のキャリアからは、創意的なフランスの首都のカラーが見えるものが多い。現在、ニューヨーク在住のSeb。洗練されたデザインのストリートウエアブランド〈Woolf NYC〉を始める前は、〈JackThreads〉でグラフィックデザイナーを担当していた。新進気鋭のアクセサリーブランド〈druthers〉と〈HUF〉 (上の写真は2014-15年秋冬のルックブックより) とのコラボレーションは、彼の才能を試す新たなプラットフォームとなっているようだ。

Snarkitecture

アーティスト「Daniel Arsham(ダニエル・アーシャム)」と建築家「Alex Mustonen(アレックス・ムストネン)」の共同プロジェクト「Snarkitecture」のワークを見ていると、ありきたりな物に対しての見方が変わる。インテリアデザインからヘッドホンやチョコレートバーなど、このブランドのデザインワークは建築を超えたものだ。〈Calvin Klein〉のウィンドウディスプレイやニューヨークの〈Dream Hotel〉の〈Winter Wonderland〉、〈Del Toro〉とのコラボレーションスニーカーのデザイン、バスケットボールにインスパイアされた「Art Basel Miami Beach」でのインスタレーションなど、コマーシャルでありながらもシナジー効果を生み出すものばかり。東京だと、昨年リニューアルした〈UNITED ARROWS & SONS〉の一部壁面も監修した。上の写真は、〈Richard Chai〉のポップアップストアのために二人が制作したインスタレーション。ひんやりとした大きな洞窟のような空間は、発砲スチロールを使って手作業でつくられている。

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