Interviews: アートとファッションを行き来するマルチ・アーティスト GASIUS(Russell Maurice)
ロンドンを拠点にグラフィック・アーティストとして活躍する一方、自身のブランド〈GASIUS〉やさまざまなブランドとのコラボを行うなどファッションとの結びつきが強いアーティスト、“GASIUS”こと「R
ロンドンを拠点にグラフィック・アーティストとして活躍する一方、自身のブランド〈GASIUS〉やさまざまなブランドとのコラボを行うなどファッションとの結びつきが強いアーティスト、“GASIUS”こと「Russell Maurice」。今回は、2015年2月11日(水)に代官山に旗艦店をオープンするバッグブランド〈Make Art Your Zoo(メイク・アート・ユア・ズー)〉とのコラボレーションをしている彼にインタビューを敢行。これまでの活動を振り返ってもらいながら、縦横無尽に活躍する彼のまっすぐな人柄に迫った。
− 8歳からグラフィティを描き始めたそうですが、アーティストとして活動を始めるに至った経緯を簡単に教えてください。
グラフィティを書くのが子どもの時から大好きでした。10代の頃は絵を描くことがアート表現だとは思っていなくて、(違法なことだけど)街中にグラフィティを描いたり、Tシャツを作ったり。それまでちゃんとキャンバスに絵を描いたことがなかったので、20代に入ってグラフィックでアート表現をしたいと思い、描き始めました。
− ファッションブランド〈MAHARISHI〉でグラフィック・デザイナーを務めた後、ロンドンの名門「セントラル・セント・マーチンズ」のMAに通いましたね。今ではオリジナルブランド〈GASIUS〉もお持ちですが、ファッションで表現をしたいという思いは前からあったのですか?
そうですね。でもおかしなことに、実はもともとファッションにはあまり関心はなくて(笑)。子どもの頃からHIP-HOPミュージックやグラフィティがずっと好きで、大学を出るまで絵を描いたりTシャツを作ったりしていたんですが、次第にファッションのクリエイティブな面やストリートカルチャーに与える影響っていうものに気づいてきて、ファッションでの表現に興味を持ち始めました。
− 多くのファッションブランドとコラボレートしていますが、自身のブランドを持っていながら、アーティストとしてほかのブランドとコラボするというのはどんな気分ですか? ほかのブランドから影響を受けたりしたことはありますか?
ブランドにもよりますが、その時々の相手によってビジョンや考え方も違うから、コラボレーションをするときに大事にしていることは、彼らが何を目指していて、自分のグラフィックに何を期待しているかをきちんと理解することですね。ほかのブランドと仕事をすると、毎回違う価値観の人と出会って毎回得るものがあるし、新たな発見があるから刺激的です。
− ストリートブランドのみならず、最近ではハイブランドとも一緒に仕事をされていますよね?
〈Givenchy〉がアジアで展開している〈G Givenchy〉というラインのために2014-15年秋冬から3シーズン続けて一緒に仕事をしましたが、古くからの友人にグラフィックを手掛けてくれないかという誘いをもらったのがきっかけでした。彼とは親しかったし、彼のクリエティブな面も尊敬していたから、すぐに引き受けました。オフィスで生地のサンプルを見たり、チームのクリエイションの過程を近くで見たり、優秀でクリエイティブなチームの環境だったから得るものはとても多かったですね。
− かつてはファッションに興味がなかったのに、今はラグジュアリーブランドと一緒に仕事をしているというのも面白いですね。
そうですね、今は考え方が変わりました(笑)。90年代中頃は若気の至りというか、当時は本当にスケートとヒップホップにしか興味がなかったので。
− これまでのグラフィティ作品を見てみると、カートゥーンキャラクターを使ったコミカルなものからもっとコンセプチュアルなものまで、表現の幅が広いと感じました。それぞれにメッセージがあるのでしょうが、作品を作る上で大事にしているポリシーや、大きなインスピレーションとなったものがあればお聞かせください。
さまざまなタイプな作品がありますが、どの作品にも意味を込めています。時期によってテーマは違いますが、最初にペインティングを始めた時は”自然”や”命のエネルギー”をテーマにしたパターンを描きました。錬金術のように作品の対象を捉えて、それを抽象化してメッセージを伝えることを手法として表現しています。
− 今回の〈Make Art Your Zoo(メイク・アート・ユア・ズー)〉とのコラボレーションではどんな点を意識されたのですか?日本のブランドやファッションはどのような印象ですか?
〈Make Art Your Zoo〉とは立ち上げから7年くらい一緒に仕事をしていますね。今回手掛けたアイテムは、カモ柄のパターンが印象的になっていると思います。防水生地を使用したり、軽量なのも魅力。
日本のファッションに関しては、彼らは細部へのこだわりや職人技術を持っているし、ファションの幅も豊かだからすごくクールだと思いますよ。
− ファッションやアートや音楽でもストリートカルチャーの影響力が再び高まってるという印象があるのですが、ストリートカルチャーに造詣があるあなたから見ていかがですか?
昔、“ストリート”という言葉はとても狭いものを表現していたけれど、今では違ってもっと幅広いものを指すようになってきているように感じます。ハイエンドなストリートファッションというジャンルも多いけど、ストリートに根付いたものでもハイエンドなものを作っているところもあるし。ストリートというものは実験的なアイディアが許されたところで、その中で、例えば〈Bernhard Willhelm(ベルンハント ウィルヘルム)〉のように、ストリートとほかのカルチャーの境目に位置し続けているようなブランドが好きです。
− 今後のプロジェクトについてお聞かせください。
今後は展覧会や自身の〈GASIUS〉コレクションの発表もあるから忙しくなりそうです。これまで次から次へと展覧会を行ってきているので、今は新しい作品について考える時間やゆとりを持ちたいと思っています。次は「a Zine with Innen」とのプロジェクトを行うので、楽しみにしていてください。
MAKE ART YOUR ZOO 代官山本店
東京都渋谷区猿楽町4-6 B1
営業時間:11:00~20:00
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Tel: 03-3408-0996