Interviews: PLUS L by XLARGE® をローンチした「江川芳文」氏が考えるスケートと服作り

ライフスタイルとスケート、もの作りとの関係性とは?

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“YOPPI”こと「江川芳文」氏をデザイナー・ディレクターに迎え始動した〈PLUS L by XLARGE®〉。プロスケーターとして東京のスケートシーンを牽引し、伝説的なブランド〈HECTIC〉を手がけていた江川氏が、〈PLUS L by XLARGE®〉を通して考える服作りに対する想い、そして自身のライフスタイルとスケート、もの作りとの関係性を語った。(ブランドの公式サイトはこちら

—〈PLUS L by XLARGE®〉を立ち上げた経緯を教えてください。
XLARGE®〉のブランド設立25周年を目前にオファーを頂きました。〈HECTIC〉と並行して〈Hombre Niño〉をやっていて、僕にとって〈HECTIC〉はスケーターっぽい部分を表現したもの、〈Hombre Niño〉は子どもができて大人になった僕が作っている等身大の部分と住み分けていました。ただ、〈HECTIC〉が解散してしまったので、そのスケーターっぽさがなくなってしまったんですよね。なので、今では、その部分が〈PLUS L by XLARGE®〉なんです。

—つまり、〈HECTIC〉で表現したかったことを、〈PLUS L by XLARGE®〉に落とし込めているっていうことですね。
そうですね、作り方が全く同じなんです。絵型作成から生産まで、ほぼ自分でやっています。

—服作りにおいて〈HECTIC〉の頃と変わったな、というところはありますか?
いや、申し訳ないくらいに変わってないですね(笑)。あのときと変わらず、ちょっと変だったり、未完成だったり、なにこれ? みたいなものを探求して見せていけたらなと思っています。

—YOPPIさんが“未完成”にこだわる理由って何ですか?
うーん、単純に僕にしかできないものを作りたいからですかね。完成度の高いもの、ハイスペックなものはすでにたくさんあるし、僕が作るものでもないのかなと。それよりは、僕なりの絶妙なさじ加減で、ダサかっこいいっていうか、例えばなんでここにタグ付けてんの? みたいなところがおもしろいのかな。人の手で作ったようなものとか、作り手の顔が浮かぶような、見る側が理解できるアイテムを作りたいと思うんです。それと、スケートマインドも取り入れていて、袖部分をパイルにしてみたり、スケーターにちょっと優しい肌触りにしてみたりとか、というのもあります。

—ほかに、ものづくりに対して譲れないものはありますか?
ものづくりの現場で生まれる雰囲気というか、“ノリ”は大切にしています。繰り返しになるけど、品質とか機能性のあるものはもう出尽くしているし、僕が作るものはどちらかというと、何かの過程で生まれたちょっとしたドラマみたいなもの。一緒にやってくれる仲間と何かを生み出せる、っていうチームづくりが好きというか。そういうのを表現したいなと思っています。

—〈PLUS L by XLARGE®〉のテーマとは?
(自分がやっているブランドが)全部そうなんですけど、スケーターに向けたウエアのようなものを背景に、〈HECTIC〉からの流れを汲んだ、レトロ&ニューっていう世界観ですかね。それがライフテーマというか、自分の中でブレないものというか。器用じゃないので、あんまり区別できないんですよね(笑)。もちろんそれぞれのブランドで誰に向けたものかっていうのと、一緒に作っているチームも違うのでテーマは変わってきますが、結局のところ自分のものづくりなので。

—YOPPIさんといえばスケート! というイメージが強いですが、ものづくりにおいてスケートの影響を受けない場合もありますか?
それぞれブランドの立ち位置が違っても、自分がスケートをするときのためにわざわざ服を用意したりしないので、基本的にどんな格好でもスケートができるっていうスタンスで生きてきていますからね。自分が着ない服はあえて作らないので、やっぱり常にスケートと考ているのだと思います。ただ、服を作って20年位ですけど、もう40代の大人なので、何か変化はもたらしたいですね。そう思って、スーツジャケットを作ったことはあります。このまま、だらしなくオーバーサイズの服を着るオジさんには感じにはどうにかならないようにしたいですね(笑)。

—YOPPIさんが、このスタイルを続けてくることができた理由ってなんだと思いますか?
“スタンダード”だから、ですかね。そのほうが居心地もいいし、偏っていないので、ハイにもローにも絡めるというか。スケートをやっているけどファッションシーンは見えているから。もともとスケートしていてそのあとにファッションに興味を持ちました。全体的な文化と、スケーターが何を着ているのかみたいなものを掘り下げていくことで、ものづくりに興味を持っていきました。そのニュートラルな立ち位置は今とは変わらないですね。

—〈PLUS L by XLARGE®〉のプロダクトについて伺いたいのですが、秋冬、ホリデーシーズンについてはテーマや色に特徴はありますか?
レトロ&ニューと、ワークウエアというのがテーマなので、そこにつながるものですかね。色については、スケーターが好きそうなパレットとか、インナーなら少しハズしたカラーリングや袖部分をパイルにしてみたり、カバーオールとGジャンの中間のサイズ感のジャケットは、ほかにはない絶妙なシルエットが気に入っています。あと、前シーズンに続き、デニムとフリースのミックスしたセットアップもあります。

—YOPPIさんから見て、裏原が盛り上がっていたころと今とでの消費者の違いって感じますか?
だいぶ違いますよね。僕が若いころってスケートの大会とか、遊びに行く場所、服を着て行く場所がいっぱいあった気がするけど、今はわざわざ人混みに出ていかなくても、自分の服をインターネットで見せられるじゃないですか。売り買いもネットでできるし。個人主義というか、そういう時代になったのかなと。

—そういう現状だとしても、〈PLUS L by XLARGE®〉は若い子たちに向けているという部分ももちろんありますよね。
そうですね、何かの縁があって手に取ってもらって、そこから掘り下げてくれる子たちがいたらそれは嬉しいです。昔は昔ですけど、若い子たちとも以心伝心していけたらと。それが今の若い世代にとって何か新しく“プラス”になればいいですね。〈HECTIC〉を作るときに“モデル”として見ていた〈XLARGE®〉で、まさかブランド25周年の節目に〈PLUS L by XLARGE®〉を立ち上げることができ、感慨深いです。

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