Interviews: LAROSE PARIS の Isaac Larose に聞く、ブランドのこれまでと帽子へのこだわり
ブランドのメンバーの一人「Isaac Larose」が来日
今や世界的に人気を集める若手のヘッドウエアブランド〈LAROSE PARIS〉。有名セレクトショップで取り扱いがあるほか、その洗練された美しいデザインの虜になるファンが多い。今回、そのブランドのメンバーの一人「Isaac Larose」が来日。〈LAROSE PARIS〉のこれまでと帽子に対する想い、そして日本人デザイナーとのコラボレーションなどについて話を伺った。
—まず、バックグラウンドを教えてください。
僕は、カナダのモントリオール在住のフレンチ・カナディアン。昔はスケートショップで働いていて、パーティのオーガナイズもしていたんだ。今もしているけどね。もともと経営学専攻で、1セッションだけフランスに留学することにしたんだ。そこで僕が初めて会ったのが、今ブランドを一緒にやっているパートナーの「Marc Beaugé」。 その後、彼から連絡があって、「君、ブランドやりなよ」って言われて、そのままやることにしちゃったんだ。カナダに戻って学校も終わらせなきゃいけなかったのに、バカな決断だったよね(笑)。でも、学生だった僕は学校以外で過ごす時間を持て余していたし、確かに何か夢中になりたかったんだ。それで彼とミーティングをしたら、僕らのコンセプトは全く一緒で、“帽子を作りたい”ってこと。それも、上質な素材を使ってスーツスタイルにも合わせられるようなメイドインフランスの帽子。それから実際、フランスで生産場所を見つけてスタートしたんだよ。最初は、フランス国内4店舗くらいでの取り扱いが目標だったのだけど、フタを開けてみたらデビューシーズンで10カ国30店舗っていう取引先にまで広がって、全く予想外だったよ。
—なぜ帽子というアイテムを選んだのですか?
メンズの日常アイテムだと思ったし、僕自身も毎日身に付けるものだからかな。5パネル、ジェットキャップも人気だし好きだけど、もっと大人っぽいものも欲しいと思っていたんだ。お店を見ても渋いものしか見当たらなくて、落ち着いているけどもっと若いタッチのある帽子が作ることができたらと思ったんだよ。
—アパレルという選択肢はなかった?
僕は、ファッションスタイリングは好きだけどファッションデザイナーではないし、服はアイテムが多すぎる。アパレルは、はじめるにはちょっと無理があると思ったんだ。抱えきれないほどのことをやるより、本当に作りたいものに集中すべきだと思ったからね。
—最初に作ったピースを教えてください。
5パネルだよ。僕らなりにこだわったんだ。ブリムを少し小さくしたり、芯のプラスチックを普通より柔らかくしたり、ストラップやバックルのデザインの細かいところに違いをつけたかな。
—最新のコレクションに関して教えてください。“Noir”コレクションを作った理由は?
本当は、黒を作りたくはなかったんだ。僕のパートナーは絶対に黒を着ないしね。すごいフランス人っぽいだろ?(笑) だいたい、いつもネイビーかグレー。それで暗めのベーシックな色を考えたときに、黒の経年変化ってあまり上品じゃないなあって。色あせてくたびれた感じ。悪くないんだけど、ネイビーの方が、もっとシックな変色の仕方をすると思うんだ。それと、どんなシチュエーションにも合う。黒って冠婚葬祭のイメージがあって、すごくハッピーでフォーマルな場面か、厳粛な雰囲気の場合の両極端な印象があって、黒を作るのはしばらく避けていたんだ。それから3年が経って、ようやくブランドのイメージがネイビーに定着してきたと思う今、今度はそのスペシャルな装いに合わせるための黒っていう、ブランドの違った角度を見せたいと思って作ることに決めた。実際には、すごく気に入っているよ。特別なときに身に付ける黒っていうのもワクワクするんだ。
—あなたにとって帽子とは?
難しいね(笑)。そうだな、とても強い自己表現だと思うよ。被っていたら隠す場所なんてないし、顔の真上にあるものだからね。それと、移動が多い僕にとっては、機能的だという理由でも必要なものだよ。日差しとか雨とか。歴史的にはもっとシンボリックなものでもあったと思うけどね。僕にとっては携行品でもあるかな。
—ブランドのインスピレーション源は何ですか?
シーズンテーマとか、大げさなものは掲げたりしていないんだ。インスピレーションといっても、アートや時代とかではなく、今は素材自体にこだわっているね。シーズンごとにイタリアの素材だったり、日本の素材だったり、フランスの素材だったり。ブランド初期には日本の素材をよく使ったよ。
—〈White Mountaineering〉や〈Green Fingers〉をはじめ、日本のアーティストやブランドとコラボレーションをしていますが、これはどのようにアプローチしたのでしょうか?
メインラインではタイムレスなクラシックピースにフォーカスしているんだけど、コラボレーションでは、おもしろいことやっている人たちと、もっと遊んだアイテムを作っているんだ。そうやってブランドに幅が生まれると思うしね。例えば〈Green Fingers〉とのコラボレーションだけど、“Larose”というのは僕の母方の苗字なんだ。そして母は花屋をやっていたから、僕は昔からボタニカルなものにはすごく親しみがあるんだよね。でも、そのボタニカルなイメージをメインコレクションのアイテムで推そうとは思っていない。だけど、コラボレーションという形でやることで、ブランドの軸はそのままに、表現の幅を広げられるよね? もともと「川本愉」さんがNYに ショップを出す前から彼のファンで、NYに出店するって聞いたから連絡したことがきっかけだよ。展示会で植物のアレンジメントをしてほしくてね。それで返事を待っていた2日後、〈NEPENTHES〉の展示会で会って、共通の友人がたくさんいることがわかったんだ。それもあって、すぐコラボレーションが決まったよ。
—ところで、日本は初めてですか?
4年前に観光できたことがあるけれど、仕事では初めて。そのときは、1週間の予定だったんだけど、楽しすぎでフライトをキャンセルして2週間延長したんだ(笑)。東京、大阪、京都、奈良を回ったよ。本当にいいところだよね。みんな優しいし、食べ物がすごく美味しい。トラディショナルな食べ物ももちろん素晴らしいし、日本はいろんな国の食文化をアレンジして仕上げるのがすごく上手いと思うよ。
—今後のブランドとしての展開は?
今後も引き続き、帽子にフォーカスしていると思うよ。でも、さまざまな型や素材を試して作っていきたい。ポップアップショップベースでいろいろな場所に出店もする予定だよ。直営店は今の所考えていないんだ。直営店にはものすごくこだわりと労力が必要だからね。しばらくは、小さいチームで動いているから僕が頻繁に移動もできるし、経営が柔軟でいられるっていうのを強みにして動いていくと思うよ。






















