Interviews: LeMoDuLeDeZeeR が生み出す幻想的なアートと agnès b. との関係性
“モジュール”をモチーフにしたアイテムのコラボレーション、「agnès b.」との出会いについてを語る
2015年9月30日(水)、〈agnès b.〉が、銀座に路面店『Rue du Jour(ルー デュ ジュール)』をオープンした。それに合わせ、パリより来日していたアーティスト「LeMoDuLeDeZeeR(ル・モジュールドゼール)」に特別インタビュー。彼の作品のテーマとなる“モジュール”をモチーフにしたアイテムのコラボレーション、そして創始者でありデザイナーの「agnès b.」との出会いなどについて語った。
元々、フリーランスとして広告業界で働いていたという「LeMoDuLeDeZeeR」。それは、クリエイティブなものを作り続けたいと願う彼にとって難しいものだったようだ。「コマーシャルなものを作るということに違和感があって。だから、自分の作品作りにフォーカスしたいなという思いがあって、10年くらい前に“モジュール”っていう僕の作品のベースになるものを作り上げたんだ」。“モジュール”は、いわゆる構成単位で、「LeMoDuLeDeZeeR」はそれらを使った平面や立体作品を作るようになった。「若い頃からずっと絵を描き続けていたんだけど、僕は全然上手くなくて(笑)。他の人のコピーは嫌だったし、だからこそ僕自身のオリジナルを作りたかったんだよね」と、その誕生秘話を教えてくれた。
小さい頃から絵を描くことが好きで、そこからグラフィックデザイナーの道へ進んだ「LeMoDuLeDeZeeR」。彼もまた、アート関連の学校を卒業しているわけではなく、すべて自身の経験とまわりの友達からグラフィティを学んでいったと いう。「今はいろんなアーティストがいるからなんとも言えないけど、僕たちが小さい時は、とにかくストリートに絵を描いて警察と喧嘩して……みたいなこと がしょっちゅうだったよ(笑)。でもそこから学ぶことって本当にたくさんあるんだよね」。
彼のライブペインティングを見ていて驚いたことが ある。それは、黒の「POSCA」を使っていたこと。それのペン先を描きやすいようにハサミで整えてスラスラと迷いなく描き続ける。黒しか使わない理由とは? 「最近はどこを見てもカラフルなものばかりだよね。それで、モノクロっていうのはすべてに馴染むものだけど、使うのも難しい。黒はある意味、スピリチュアルな色にも見えるし。よく“カラフルなので描いてくれない?”って言われるんだけど、でも僕のスタイルは黒と白だから、そこは断っているよ(笑)」。そんなモノクロの世界観で描かれた壮大な作品は、とても繊細で吸い込まれそうな何かを放っている。そして、「agnès b.」はその魅力に引き寄せられたに違いない。
agnès b.とのコラボレーションは今回が2回目だと話す。「彼女は僕が名前を知られる前に作品を見ていてくれて、そこからコラボレーションがスタートしたんだ。出会ったのは10年前くらいかな。彼女はいわゆる“商業的”な考えじゃないか ら、それが僕とマッチしたのかもしれない。agnès b.に出会ったことで、自分に自信を持てたし、すごくいい出会いだと思っている。彼女、本当に魅力的だし、すごく賢くて、状況を冷静に見ることができる人。僕の娘(ルイーズ)と僕より長い時間一緒にいてくれたりするし(笑)、とてもあたたかい人だよ」。今回のコラボレーションでは、シャツ、スニーカーといったアイテムを展開。どちらも“モジュール”を全面にプリントしたクールなデザインだ。「今回もagnès b.から声をかけてもらって、“もちろん!”って答えたんだ。日本も初めてだったし、こうやって銀座店のオープニングで壁にペインティングできるのがとても嬉しいよ」。
アートフェアをはじめ、来年はパリで個展も予定しているという「LeMoDuLeDeZeeR」。これまでに描いたことのない大きなキャンバスを使った作品も制作しているというので、今後の活動に期待したい。
「LeMoDuLeDeZeeR」のコラボレーションアイテムは、こちら。ショップ『Rue du Jour』に関しては、こちらからチェック。