HYPEBEAST が選ぶ 2016年ベスト映画
これから日本公開予定の作品も含まれる、必見の映画をリストアップ
2016年もあと残り2週間。新年を楽しみにしている人もいれば、時間がすぎる速さに驚いている人や焦っている人がいるのではないだろうか? そこで我々『HYPEBEAST』は映画を通して、2016年を振り返ってみた。今回はアワードのようにさまざまなカテゴリーに分け、今年公開された映画でベストだったものをリストアップ。『Moonlight』をはじめ、『Manchester by the Sea』、『The Lobster』、『La La Land』など、日本で未公開な作品も多く含まれている。我々が独断と偏見でお届けする2016年のベスト映画リストをチェックし、年末の休みに観たい作品を探してみては?
ベスト・アカデミー賞最有力候補賞:Moonlight
アカデミー賞を総なめしても驚かないであろう映画が『Moonlight』。Barry Jenkins(バリー・ジェンキンス)監督が、メガホンを握ったこの作品はフロリダに住む同性愛者であるアフリカ系アメリカ人の男の子の物語。主人公の子供時代から大人時代まで3段階に分かれており、Trevante Rhodes(トレヴァンテ・ローズ)演じる、主人公のChironは日常的な暴力と疎外の中で成長する姿が描かれている。この作品のディレクションはもちろん、パフォーマンスも芸術作品のように美しく、ハイクオリティなものだ。日本では来年に公開を予定している。
ベスト・ミュージカル賞:La La Land
映画『セッション』を手掛けたDamien Chazelle(ダミアン・シャゼル)が、脚本と監督を務めた最新作『La La Land』は昔のハリウッドを舞台に繰り広げられるラブストーリー。Ryan Gosling(ライアン・ゴズリング)が演じる Sebastian と Emma Stone が演じるMiaが、ロサンゼルスの街中で何度も遭遇し、お互いどんどんと恋に落ちていくというミュージカル仕立ての一作となっている。日本では2017年2月から公開予定。
ベスト・コミックブックムービー賞:Capitan America: Civil War(シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ)
フィルムフランチャイズとして大成功を収めている「Marvel」社を代表するヒーローといえば、キャプテン・アメリカ。ヒーロー映画の中でも史上最高の3部作といっても過言ではないかもしれない。『Capitan America: The Winter Soldier』と『The Avengers: Age of Ultron』の続編として公開された本作にはキャラクターのダイナミクス、大胆な構成、感情的な物語、また迫力あるアクションで観客に瞬きする瞬間も与えないほどであった。
ベスト・海外映画賞:The Handmaiden
映画『Oldboy Fame』を手がけた、Chan-wook Park(チャンウク・パク)監督がメガホンを握った最新作『The Handmaiden』は、美しいビジュアルと魅力的な物語を融合させ、先進的でリュクス感あふれる時代劇映画。伯爵と呼ばれる詐欺師は財閥の令嬢と結婚するために幼い頃から育てている主人公の少女の手を借り、最終的には令嬢の財産を奪おうと計画している、ラブストーリー混じりのサスペンスストーリーとなっている。今まで見たことのないようなひねりに釘付けになるであろう。
ベスト・アニメーション賞:Kubo and the Two Strings
「Laika」社とTravis Knight(トラヴィス・ナイト)が監督を務めた、ストップモーションアニメーション映画は、私たちを東洋文化と西洋文化が出会う冒険に導く。映画『Kubo and the Two Strings』は日本を舞台に主人公のクボが、祖先の霊との出会いをキッカケに戦いへと出発することになり、お供として猿とカブトムシを一緒に連れて行く物語。声優としてCharlize Theron(シャーリーズ・セロン)、Art Parkinson(アート・パーキンソン)、Rooney Mara(ルーニ・マーラ)、Matthew McConaughey(マシュー・マコノヒー)、Ralph Fiennes(ラルフ・フィエネス)が参加している。ある童話と物語が似ている気がするが、本作は今年公開されたアニメーション映画で最も巧みで美しい作品かもしれない。
ベスト・サイエンスフィクション賞:Arrival
昨年公開された映画『Sicario』に引き続き、Denis Vileneuve(デニス・ヴィレネウブ)監督は女性が主人公で、観客を悩ませるようなサイエンスフィクションの物語を描いた。地球に「ヘプタポッド」と呼ばれるエイリアンが出現してからAmy Adams(エイミー・アダムス)が演じる言語学者は、Jeremy Renner(ジェレミー・レナー)演じる数学者とエイリアンたちとコミュニケーションするために彼らの言葉を読み解こうと試みる。この作品には謎だらけだが、息を呑むAmy Adamsの演技に圧倒されるに違いないであろう。日本公開は2017年に予定。
ベスト・コメディ賞:Deadpool(デットプール)
「Marvel」社の『Deadpool』はコミックストーリーを新たな角度から描き、多くの観客に驚きと笑いを提供した。ユーモアあふれる本作は少し下品な言葉の中にインテリジェンスな部分を加え、バランスの良い、観てて飽きない物語に仕上げ、Ryan Reynolds(ライアン・レイノルズ)のスーパー・アンチ・ヒーローのパフォーマンスは、長年多くの記憶に残るであろう。
ベスト・ホラー賞:Hush(サイレンス)
「Netflix」で公開されたMike Flanagan(マイク・フラナガン)監督の『Hush』は、森で暮らしている聴覚障害を持つ作家の女性が殺人鬼に立ち向かうという、サスペンス・ホラーには今までなかった設定。耳が聞こえないため、周りで起きていることがわからない状況がスリル感を増すのであった。「Netflix」に登録している人は早速今週末にでも観てみるべき一作だ。
ベスト・ドラマ賞:Manchester by the Sea
映画『Manchester by the Sea』は主人公のLee Chandler(リー・チャンドラー)の兄が突然他界したため、息子の後見人として実家へ戻り、お互い故郷や辛い過去と向き合いながらも二人で一生懸命に生きる姿を描いている。舞台となっている寒いニューイングランドは、心を閉ざした主人公の罪悪感、悲惨さ、そして後悔を引き立て、映画の冷たさや悲しさを醸し出すのであった。Kenneth Lonergan(ケネス・ロナーガン)が監督と脚本を手がけ、プロデューサーはなんとMatt Damon(マット・デイモン)。また主人公はBen Affleck(ベン・アフレック)の実弟、Casey Afflect(ケイシー・アフレック)が演じ、元妻役にMichelle Williams(ミシェル・ウィリアムズ)が登場する。今年一、エモーショナルで悲しみが味わえる映画となっているであろう。
ベスト・チルドレンストーリー賞:Fantastic Beasts and Where to Find Them(ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅)
現在絶賛公開中の映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は『ハリーポッター』シリーズの前編ストーリーではないと発表した作者J.K. Rowling(J.K. ローリング)だったが、映画が始まった瞬間に“ハリーポッターの世界”へ引き戻された人は多いのではないだろうか? 『ハリーポッター』シリーズのスピンオフ編として公開されている本作は、Eddie Redmayne(エディー・レッドメイン)が演じる、魔法動物学者のNewt Scamander(ニュート・スキャマンダー)の魔法スーツケースに入っていた魔法動物が逃げ出したことをキッカケに悪の組織や魔法省など、さまざまな戦いに巻き込まれてしまう物語。子供向けだと思われがちだが、大人でも十分楽しめるストーリーラインとなっている。
ベスト・ドキュメンタリー賞:O.J.: Made in America
Ezra Edelman(エズラ・エデルマン)が手がけたドキュメンタリー映画『O.J.: Made in America』は、トライベッカ映画祭で上映される前にサンダンス映画祭で公開され、後にニューヨークとロサンゼルスの劇場で公開された。今年最も賞賛されたドキュメンタリー作の一作として、すでに2017年アカデミー賞のドキュメンタリーカテゴリーにノミネートされている。この作品はO.J. Simpson(O.J.シンプソン)の人生を通して、アメリカの最大のフィクセーションである、人種とセレブリティの2つを細かく探ることができる。
ベスト・インディー映画賞:The Lobster
Yorgos Lanthimos(ヨルゴス・ランティモス)監督の『The Lobster』は、ここ最近の最も不思議で陽気な映画であろう。Colin Farrell(コリン・ファレル)が演じる未婚の主人公が、法律で45日以内に誰かルームメイトを見つけないと彼が希望する動物に変身させられるモーテルにチェックインするといった一風変わった物語。このディストピアンなコメディ作品は愛、人間関係、結婚、そして人間がコネクションに対して求める欲望などを考えさせられるようにもなっている。今までにない独特なストーリーラインを持つ、『The Lobster』は必見だ。
ベスト・スリラー賞:Don’t Breathe(ドント・ブリース)
映画『Don’t Breathe』はある家に大金が隠されていると聞いた3人の子供が、その家主である盲目の老人から奪おうとするところから始まる。それから子どもたちは家主が予想以上に能力が高い、殺人鬼だということに気づき、加害者が被害者の立場になってしまうという致命的な状況に陥るのであった。心拍数が早くなり、目を覆いたくなるようなスリル満点の映画は、ぜひとも大きなスクリーンで観てほしい。日本公開は本日12月16日(金)からなので、金曜日の夜に映画館で過ごしてみるのも悪くないかも?
ベスト・デザイナー監督作品賞:Nocturnal Animals
デザイナーのTom Ford(トム・フォード)が監督を務めた『Nocturnal Animals』は、Austin Wright(オースティン・ライト)作の小説『ミステリー原稿』が原作になっており、Amy Adams(エイミー・アダムス)演じる主人公の元に20年前に別れた、Jake Gyllenhaal(ジェイク・ギレンホール)演じる元夫から小説原稿が届くところからスタートする。愛、残酷さ、復讐、救済をテーマにした本作は、ファッションデザイナーだけのことはある美しいヴィジュアルで仕上げられているが、それ以上のパワーが漲っている作品だ。
ベスト・ゾンビ映画賞:Train to Busan(釜山行き)
今年の夏に韓国で公開された映画『釜山行き/Train to Busan』は、ここ最近で最も面白いゾンビ作品に違いないであろう。George Romero(ジョージ・ロメロ)とDanny Boyle(ダニー・ボイル)の作品からインスパイアを受けている本作は、人に親切にすることの重要さ、そして一体何が人間らしさなのかを問う映画となっている。5月にはカンヌ映画祭で公開され、韓国では1000万人以上の来場者で最高記録を破った。今後アメリカでリメイク版が制作されるというので、それまでにオリジナル版をチェックしておこう。
ベスト・アニメ賞:君の名は。
アニメ界の伝説的監督である「スタジオジブリ」の宮﨑駿監督が、2013年に引退すると発表して以来、世界中のファンが彼の後継者を探していた。そしてついにジブリを越えてしまえるような作品が登場。今年7月に公開され、現在でもロングラン上映されている『君の名は。』は、現段階で興行収入205億円超、観客動員数は1578万人を超えを記録した超人気作品。日本人であったら観るべき名作をまだ観ていない人は、急いで映画館に足を運ぶべき。