Interviews: スケーターやヘッズからカルト的な人気を誇る型破りなアーティスト Neckface

来日した「Neckface」が語るアート、スケートボーディング、そして〈WACKO MARIA〉とのコラボレーションについてのこと

ファッション アート
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東京発の人気メンズウエアブランド〈WACKO MARIA〉の中目黒にあるフラッグシップストア『PARADISE TOKYO』の1周年を記念したコラボレーションアイテムにアートワークを提供し、先月『PARADISE TOKYO』にてアートショウを開催していたグラフィティアーティスト「Neckface(ネックフェイス)」。スケートボードやハードロック音楽といったカルチャーをバックボーンに持ち、その毒のある唯一無二なタッチのグラフィックで世界中のスケーターやヘッズからカルト的な人気を誇る、アートシーンにおけるアウトサイダー的存在の気鋭アーティストだ。そして今回我々『HYPEBEAST』は、その〈WACKO MARIA〉とのコラボレーションワークの発売と、アートショウのスタートに際して来日した「Neckface」にインタビューを敢行。彼のアート活動の裏に存在するインスピレーション源やそのマインド、昨今特に顕著に見られるようになったスケートカルチャーとファッションとの結び付きについてのこと、そして今回の〈WACKO MARIA〉とのコラボレーションについてのことなど尋ねてみた。

- まずは東京にまた戻ってきてくれてありがとう!久しぶりの東京はどうですか?

最高だよ!俺がここでする一番好きな行為は“描くこと”さ。どんなもの上にも描いてやるよ。俺はいまLAに住んでるんだけど、あっちではあまりストリートでタギングすることはなくなったな。あの街にはその価値が無くなった気がするよ。どうせすぐ消されるしな。だから俺はまた東京に戻れたことが嬉しいんだ。夜通しストリートに出て太陽が昇ってくるまで描きまくるのが楽しくてたまらないね。もちろん、今回〈WACKO MARIA〉とのコラボレーションの機会を持てたことも最高さ。

- 東京で最も有名な「Neckface」のアートは『ABC−MART 渋谷店』の横の壁にある大きなものだと思うんだけど、あれについて少し話を聞かせてもらえますか?

俺があれを描いたのは2004年だったかな、その年は確か俺は2回東京に来たんだ。まだ年が明けて間もないころと1年の終わりの方の2回。あれを描いた時は〈RVCA〉かなんかのブランドのツアーで来たんだと思うんだけど、とにかく滞在最終日にやったことは覚えているよ。その時まだ大量のペイント材が余っていたから使い切ろうと思ってデカいものを描くことにしたんだ。どうやってあそこの場所まで登っていったのかはもう覚えてないね。そして描いて下に降りた。もちろんどうやって降りたのかも覚えてない。確かあの辺にある細いポールみたいなものに飛びついて、それをつたって降りた気がするな。あれが12年間もずっとあそこの場所にあるなんてヤバいよな。“KILL YOUR BABY”とか書いてあるんだぜ。

- 好きなアーティストはいますか?

「Edward Gorey(エドワード・ゴーリー)」、「Charles Addams(チャールズ・アダムズ)」、それと「Mark Gonzales(マーク・ゴンザレス)」だな。

- これまでに〈Baker〉や〈Nike SB〉・〈Vans〉・〈RVCA〉など、様々なブランドと携わってきたりコラボしてきたと思うんだけど、今回の〈WACKO MARIA〉とのコラボレーションのきっかけは?

実は数年前にも〈WACKO MARIA〉から俺の元に声が掛かっていたことはあったんだけど、その時は俺がオーストラリアにいたかなんかで実現しなかったんだ。正直言うと俺はそのとき〈WACKO MARIA〉のことは何も知らなかったんだけど、代わりに俺の友達でアーティストの「Weirdo Dave(ウィアード・デイブ)」って奴を彼らに紹介したんだよ。それからWeirdoと彼らが作り上げたアイテムはデザイン面でもクオリティ面でも最高だった。そのことを覚えてきたから今回〈WACKO MARIA〉からまた声が掛かった時はすぐポジティブに捉えることができたんだ。まぁでも最大のきっかけは〈WACKO MARIA〉の奴らがアメリカに来たときのことだな。彼らは〈WACKO MARIA〉のプロダクトを沢山持ってアメリカの俺の元を訪ねて来てくれたんだけど、そのプロダクトが本当にクールなアイテムばかりだったんだ。それからすっかり意気投合して俺らは確か一緒にパーティーに出かけたんだよ。リラックスな関係すぎず、プロフェッショナルな関係すぎない丁度いい関係性が俺らの間にはあるんだ。スーツを着て行う契約なんてのは嫌なんだよ。普通アーティストとアパレルブランドが組んだらTシャツに適当なアートをプリントを落とし込んで終わりだろ?俺らのは違うぜ。最高のクオリティを保ったコラボレーションワークだ。

- 今回制作したコラボアイテムのの中でも一番お気に入りのアイテムは?

全てのアイテムが最高さ。ハワイアンシャツのプリントをよく見たらそのクオリティの高さに驚くぜ。俺は作品を描くとき、どんだけ色を使うとか使わないとかそんなことは特に気にしないんだ。このシャツ用のアートワークを送ってくれって彼らから頼まれて、それで送った時、さすがちょっと色を使いすぎたかなと思って彼らに聞いたんだ。あまり色が多いと生地に起こすときに大変だからな。でも彼らは難なくそのプリンティングをやってのけた。刺繍でアートワークが配されたスーベニアジャケットも最高だな。この2つが特に気に入ってるけど他のアイテムも本当に間違いない仕上がりだよ。もう俺からは何も言うことなしって感じだな。

- 最近スケートカルチャーとファッションシーンの結び付きがますます強くなってきていると言われているけど、そのことについて何か思うことはありますか?

俺が思うに、本当のスケーターは別に何が起きたって変わらないんじゃないかな。別に誰かが何かを食い物にして金稼ぎをしようと思うのは世の常ってものさ。それは何もスケートボーディングに限ったことじゃなくて、アートだってバスケットボールだって同じさ。でも、もし本当にいまスケートボーディングがクソみたいなハイファッションの中に存在するものになってしまっているのなら、そこにいるビッチ達を全員ファックしちまえばいい。マジだぜ。もしスケートボーダーだからっていう理由でモデルやってるような女の子に言い寄られることがあったときにはそいつの上に乗っちまえ。

- アーティストとして活躍の場を広げ、成功していくにつれて何か心境の変化などはありましたか?

なにもないさ。別にちょっと活躍の場が広がっているからって俺はなんにも変わってないぜ。着ている下着でさえ変えちゃいない。俺が今日東京にいる理由は俺が昔から変わらず、そして周りの人間達がそのことを評価してくれているからさ。俺は未だにベッドの上で小便がしたくなったらするし、昔と変わらずぶっ飛んだ毎日を過ごしているし、絵だって昔と変わらないスタイルで描き続けている。それにたまには今でも相変わらず刑務所に入ることだってあるしな。そういったことが俺を変わらせずにいさせてくれているんだ。

- 「Neckface」のアートワークは、どこか毒のあるヘビーメタルな雰囲気のグラフィックとユーモアのあるテキストが特徴的だと思うんだけど、このスタイルはどのようにできあがったものですか?

それはもう俺の育ち方が反映されてるんだろうな。俺のホームタウンは北カリフォルニアのとある街なんだけど、そこはアメリカ国内で酷い地域トップ5には入ってるであろうってぐらい酷い街でさ。本当にクソみたいな場所なんだよ。でも、そこで生まれて若い頃を過ごした経験が今のスタイルにつながっているんだと思うよ。俺の兄弟はそこでグラフィティショップを持ってたし、俺の家族はみんなホラー映画が大好きだった。

- 「Neckface」の創作活動についてもう少し話を聞かせてもらえますか?

そうだな、俺はほとんどの時間を仲間達とバーで酒を飲みながら過ごしているよ。〈BAKER〉が俺に最初に電話してきたときだって酒を飲んでた。それで酒を飲みながら考えて、また電話を折り返したんだ。もし酒を飲んでる場で何かアイディアを思い付いたらペーパーナプキンか何かに描いてみるんだ。もしそれが仲間から笑われるようなアイディアであったとしてもね。基本的には俺は絵を描くことが好きなトラブルメーカーなのさ。

- 世間一般的には「Neckface」は“ストリートアートアーティスト”とされていますが、それに対して違和感などは感じたりしますか?

誰がどんなことを書いたラベルを俺に貼り付けようとも、そいつらより俺は俺のことを知っている。俺はスケートボーダーなんだ。絵を描くことが好きな、ね。それが俺が今日ここにいる理由だよ。誰がその辺でスケートしてようと、ノーコンプライ(スケートボードのトリックの1つ)をしてようと、そんなの知ったこっちゃねえって感じだろ。俺にとってはグラフィティもそんな感じさ。もし俺がこれまでに誰かの言うことを気にしながらやってきたら、俺は今日ここにいないだろうな。俺はスケーターのアティチュードの持ち合わせた絵描きなんだ。

- これまでで一番クレイジーだったと思うプロジェクトや仕事はなに?

“Art in the Streets”でのインスタレーションだろうな。多くのグラフィティアーティストがLAの現代美術館に集められて開催されたイベントさ。俺は主催者側に前もって“ストリートを持ち込む”ってことを伝えたんだ。だから友人のGeorgeと一緒に俺は路地にみたてたセットを美術館の中に作って、俺自身ホームレスの格好までしてやったよ。

- 今回の〈WACKO MARIA〉とのコラボレーション以外に、進行中のプロジェクトや今後の予定はなにかありますか?

アニメーションの世界に飛び込むかもな。まぁでも予定は未定だ。俺は常に気分屋だからな。

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